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〝宅建士革命〟に備えよ

〝宅建士革命〟に備えよ

㈱セゾンリアルティ代表取締役会長の竹井 英久氏は言う。

不動産業は拡大には強いが、縮小には弱い。大都市は最開発エネルギーが強くまだ成長産業だが、気になるのは地方での不動産分野の担い手がどうなるかだ

地方では価格が下落して仲介料がほとんど出ない住宅、買い手のいない土地が増え続けていく。地元不動産会社は商売したくてもできない状況に陥る可能性が高まっていくだろう。

そこで竹井氏の提案はこうだ。

郵便局のようなユニバーサルサービスを行う企業が不動産も扱うとか、土地を畳むための権利調整や利用転換をしていく機能を行政が内製化していくしかないのではないか

さらに、

個人で宅建業を営む者には宅建団体がFCのように個人をバックアップしていく仕組みが必要かもしれない

と。

筆者は、仲介手数料ビジネスそのものからの脱却が必要と考える。100万円の住宅を仲介しても5万円の手数料にしかならなければ誰もやりたがらない。しかし、売り手は30万円の報酬を出しても処分してもらいたいかもしれない。そもそも媒介報酬は本来なら感謝の度合いに応じて払われるものである。決まった報酬しかもらえなければそれに応じた仕事しかしないのは当然で、5万円ではそもそも採算が取れないという話である。

東京などの大都市では住宅価格は下がらないどころか、今後も上がり続ける可能性が高い。人口減少時代は職を求めて大都市に人口が集まり続けるからだ。竹井氏も「優秀な営業マンは都会を目指す」と見る。東京では不動産会社の競争が激しくなると同時に宅建士間の競争も激化する。これからの不動産会社にとって最強の戦略は国民の信頼を得ることで、そのためには依頼者と直接接する宅建士のレベルアップと信頼確保が欠かせない。

しかし、宅建士が会社という組織内資格に留まるかぎり、国民からの信頼確保には限りがある。竹井氏の提案と重なるのかもしれないが、全宅連と全日本不動産協会が合同で「宅地建物取引士協会」(仮称)を設立し、宅建士が守るべき行動規範の策定と厳しい自主規制で信頼を確保していくことが望まれる。

宅建士は企業に属しながらも、基本的にはその能力とスキルの高さで国民から直接選ばれる存在(専門家)になっていく。住宅の売買を望む依頼者と宅建士とのマッチングサイトも次第に充実していくだろう。そして、顧客のリピート率が高い宅建士は不動産会社から高額の待遇で迎えられるようになる。

そうした〝宅建士革命〟はもうそこまで来ているように思う。

 

執筆者

本多信博氏 住宅新報 顧問

1949年生まれ。長崎県平戸市出身。早稲田大学商学部卒業。住宅新報編集長、同編集主幹を経て2008年より論説主幹。 2014年より特別編集委員、2018年より顧問。
著書:『大変革・不動産業』(住宅新報社・共著)、『一途に生きる!』(住宅新報社)、『百歳住宅』(プラチナ出版)、『住まい悠久』(同)、『たかが住まい されど、住まい』(同)、『住文化創造』(同)など
現在、住宅新報に連載コラム「彼方の空」を執筆中。