前回に引き続き、「辰野金吾」の設計による建築を見ていきましょう。
今回は、「日本銀行本店 本館」です。この建物は「ネオ・バロック様式」が用いられ、いわゆる辰野式と呼ばれる赤煉瓦と白い大理石のデザインではありませんが、構造は1階は石積み、2~3階はレンガ積みで表面を薄い石張りで仕上げて軽量化しています。
予約をすれば内部を見学できますが、ふらっと見に行ったためドーム下の正面玄関は見られませんでした。
上から見ると「円」の字に見えるといわれる建物の左右の翼棟(円の字の両足の部分)の先端を壁(門)でつないで見えないようなデザインにしています。中央銀行ですから、防御機能を高めたともいわれていますが、その他諸説あるようです。
駅舎、銀行などで様々な歴史様式を採用した辰野金吾の建築の中では、次回紹介する「日本銀行大阪支店」はデザインが似ているものかと思います。
日銀本店の道路を挟んで周りには、バロック様式の「三井本館」や「三越本店」、外壁の装飾を排除した「近三ビル」(旧森五商店ビル/設計:村野藤吾)、アーチを多用した出入り口や半円形の窓の幾何学的な装飾が特徴の「常盤小学校」などもあり、建築様式の違いを見比べられますので、現地訪問の際はぜひ一緒にご覧ください。