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不動産のプロとしてのエピソード

不動産のプロとしてのエピソード

私が不動産業界の仕事をするようになり、あっという間に13年が経過した。前職のアパレル業界から何の知識のない状態からの転職であった。自分の人生の中で、絶対に関わらないであろうと考えていた業種でもあった。

いざ、仕事に携わってみると、とても奥深く、社会に貢献できる業種だとすぐに理解することができた。

今の私が一番大事にしている事は、お客様に寄り添うこと。つまり伴走型である。なぜ伴走形を最優先しているかと言えば、不動産は、長い歴史の中に存在し、関係する人が変わる。短期間で終わる案件がほとんどない。家族以上の存在となり、間を取り持つことも時には必要となる。

その長い歴史の中に、様々な人の思いがあり、お客様のお困り事の中には、過去において、その時代の先人が最善を尽くされた、また問題を未来に残した結果、生じたものもある。

時代の背景、不動産の歴史、人の歴史、人の考え方が存在し、不動産は動かないが、環境が変わり、人が変わる。そのたびに、さまざまな課題が発生する。

私は、二つの武器を必ず持つように意識している。一つ目は技術、二つ目は実績である。一つ目は、専門的な資格、知識、知恵を「技術」としている。二つ目は、経験、ご縁つなぎ、価値向上を「実績」としている。

この、二つの武器と倫理観が合わされば、お客様のお困りごとの解決に、大きく役立つことができる。

お客様のご相談に対する、解決方法については、唯一無二であり、同じ解決方法は無い。

ただひたすら、知恵を絞り、お客様のお気持ち、不動産を取り巻く背景を十分に調査、理解すれば、解決の糸口を導き出すことができる。

不動産のプロとして、今日まで携わって来ることができたのは、お客様からいただいたご相談案件を解決したことにより、自然と、専門的な知識や解決能力が身についていた。その、身についた経験を、新規にご相談いただいたお客様に応用した上で、個別性に合った解決方法を探し出し、ご安心していただいて来た。

不動産の仕事は、お客様に育てられ、お客様のご協力のもと、共にこの業界で切磋琢磨している仲間の協力、支援により、人が成長し、成り立っていく。

あえて、一つだけ強く言えるのは、ご縁が全てであるということ。大自然の中にある土地、過去の人々、現代の人々、あらゆる方々の繋がりの中で、不動産は、成り立っていると感じる。ご縁という見えないものが、全てを導き、過去と現在と未来を繋げていく。そのご縁に対して、誠実さを持って対応していけば、必ず人は成長し、地域社会が良くなっていくことを実感している。

不動産のプロとは、高い倫理観を持ち、社会のお困り事に対し、歴史を知り、歴史と人を大事にし、知恵を絞り出し新しい価値を生み出して、新たな生活基盤を創り、人々に暮らしの安心安全を提供して、街の発展に大きく寄与することだと思っている。

これまでご縁をいただき、私を導いていただいた、お客様・仲間・家族に感謝しながら、これからも最善を尽くし、この現代社会及び未来に貢献していく所存です。

 

イニシオライフ・サービス物語

※詳細につきましては、塩見哲先生のインタビューによる『イニシオライフ・サービス物語』(ダン・コンサルティング刊)に掲載いただいております。

www.dan-tcg.co.jp

 

執筆者

大村大氏大村 大氏 

一般社団法人 大阪府不動産コンサルティング協会 理事
本会、教育事業部会 部会長
株式会社イニシオ・ライフサービス 代表取締役社長

(資格)
公認不動産コンサルティングマスター
不動産エバリュエーション専門士、相続対策専門士
宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理
(経歴・実績など)
京阪神地区を中心に地元密着企業として、お客様の価値最大化及び地域社会に貢献。
不動産管理を事業の中心に相続対策、事業継承、法人設立、土地の有効活用から賃貸住宅の建築、管理受託、大規模修繕工事、リフォーム、リノベーション、生産緑地活用提案等を手掛け、あらゆる資産価値の向上に取り組んできた。現在は、一般社団法人大阪府不動産コンサルティング協会にてコンサルティング手法を学び、お客様と共に課題解決に取り組んでいる。
【講演】不動産コンサルティングフォーラム2022、大阪市立住まい情報センター、大阪の住まい活性化フォーラム(池田市高槻市門真市等)

注目される不動産特定共同事業と「公認 不動産コンサルティングマスター」の役割

注目される不動産特定共同事業と公認 不動産コンサルティングマスターの役割

近年、個人投資家の資産運用ニーズの高まりと規制緩和を背景として、投資家から小口の出資を募り、不動産を取得して運用し、その運用収益を分配する「不動産特定共同事業」に参入する不動産事業者が増加している。2017年2月時点では99社であった事業者数は、その約5年後の2022年8月時点には269社(許可事業者数223社、小規模不動産特定共同事業の登録事業者数46社)と約2.7倍になっている。

不動産特定共同事業は多数の投資家から出資を集める共同投資事業であるため、これを営むには図表1に掲げる要件を満たし、行政庁からの許可又は登録を受けなければならない。

不動産特定共同事業の類型と許可要件

数多くの要件の中でも特に重要なのが「業務管理者の設置」である。業務管理者とは、不動産特定共同事業契約の締結の勧誘、契約内容や財産の管理状況などの説明などの実務に関し必要な助言、指導その他管理監督を行う従業者をいう。業務管理者を最低1名は確保できないと、不動産特定共同事業を営むことはできない。

業務管理者の設置

数多くの要件の中でも特に重要なのが「業務管理者の設置」である。業務管理者とは、不動産特定共同事業契約の締結の勧誘、契約内容や財産の管理状況などの説明などの実務に関し必要な助言、指導その他管理監督を行う従業者をいう。業務管理者を最低1名は確保できないと、不動産特定共同事業を営むことはできない。

業務管理者となるための条件

しかし、業務管理者となるためには、一定の条件を満たす必要がある。まず、宅地建物取引士であることが必須条件である。その上で、次のいずれかの資格又は経験を有する者のみが業務管理者となることができる。

①公認不動産コンサルティングマスター
②ビル経営管理
③不動産証券化協会認定マスター
④不動産特定共同事業の業務に関し3年以上の実務経験を有する者

現在の人材市場には、④3年以上の実務経験を有する者はほとんどいない。そのため、不動産特定共同事業を営む(又は参入を目指す)事業者は、宅地建物取引士であって、かつ①~③のいずれかの資格を持つ人材を探すこととなる。

人材確保の実態

筆者は行政書士・不特法アドバイザーとして数多くの許可・登録の支援を行っているが、社内に宅地建物取引士であって①~③の資格を持つ人材がいる会社は多くない。宅地建物取引士である従業員に資格を取得させるにしても時間がかかるし、試験に合格するとは限らない。よって、このような会社は、業務管理者の条件を満たす人材を、転職エージェントなどを使って採用することとなる。

公認 不動産コンサルティングマスター

筆者の経験では、業務管理者となる人材の約7-8割が公認不動産コンサルティングマスターの資格を持っている。公認不動産コンサルティングマスターの登録要件の1つが「宅地建物取引士資格登録後、不動産に関する5年以上の実務経験を有し、登録申請時において、宅地建物取引士証の交付を受けていること」であるため、多くの公認不動産コンサルティングマスターは宅地建物取引士の条件も満たしている。

公認不動産コンサルティングマスターの資格を持つ読者には、不動産特定共同事業の業務管理者としてのキャリアアップの機会が存在することをご認識いただきたい。

個人投資家にインターネット等を通じて小口の不動産投資機会を提供する不動産特定共同事業は今後も拡大が見込まれる。不動産特定共同事業の拡大に伴い、同事業の業務管理者として、公認不動産コンサルティングマスターの活躍の場が更に広がることが期待される。

 

 

執筆者

石井くるみ氏 日本橋くるみ行政書士事務所 代表

早稲田大学政治経済学部を卒業後、公益財団法人消費者教育支援センターに研究員として従事。その後、行政書士資格を取得。法律事務所での勤務を経て、日本橋くるみ行政書士事務所を開設。不動産ビジネス(民泊・旅館業、宅建業、建設業など)と金融ビジネス(不動産特定共同事業、金融商品取引業、仮想通貨交換業など)を中心に、許認可法務とコンサルティングサービスを提供。
推進センターの月刊誌「不動産フォーラム21」で「不動産特定共同事業(FTK)のすべて」を連載中。公認 不動産コンサルティングマスター。