注目される不動産特定共同事業と公認 不動産コンサルティングマスターの役割

近年、個人投資家の資産運用ニーズの高まりと規制緩和を背景として、投資家から小口の出資を募り、不動産を取得して運用し、その運用収益を分配する「不動産特定共同事業」に参入する不動産事業者が増加している。

2017年2月時点では99社であった事業者数は、その約5年後の2022年8月時点には269社(許可事業者数223社、小規模不動産特定共同事業の登録事業者数46社)と約2.7倍になっている。

不動産特定共同事業は多数の投資家から出資を集める共同投資事業であるため、これを営むには図表1に掲げる要件を満たし、行政庁からの許可又は登録を受けなければならない。

図表1.不動産特定共同事業の類型と許可要件
図表1.不動産特定共同事業の類型と許可要件

業務管理者の設置

数多くの要件の中でも特に重要なのが「業務管理者の設置」である。

業務管理者とは、不動産特定共同事業契約の締結の勧誘、契約内容や財産の管理状況などの説明などの実務に関し必要な助言、指導その他管理監督を行う従業者をいう。

業務管理者を最低1名は確保できないと、不動産特定共同事業を営むことはできない。

業務管理者となるための条件

しかし、業務管理者となるためには、一定の条件を満たす必要がある。

まず、宅地建物取引士であることが必須条件である。その上で、次のいずれかの資格又は経験を有する者のみが業務管理者となることができる。

  1. 公認 不動産コンサルティングマスター
  2. ビル経営管理士
  3. 不動産証券化協会認定マスター
  4. 不動産特定共同事業の業務に関し3年以上の実務経験を有する者

現在の人材市場には、④3年以上の実務経験を有する者はほとんどいない。そのため、不動産特定共同事業を営む(又は参入を目指す)事業者は、宅地建物取引士であって、かつ①~③のいずれかの資格を持つ人材を探すこととなる。

人材確保の実態

筆者は行政書士・不特法アドバイザーとして数多くの許可・登録の支援を行っているが、社内に宅地建物取引士であって①~③の資格を持つ人材がいる会社は多くない。

宅地建物取引士である従業員に資格を取得させるにしても時間がかかるし、試験に合格するとは限らない。

よって、このような会社は、業務管理者の条件を満たす人材を、転職エージェントなどを使って採用することとなる。

公認 不動産コンサルティングマスター

筆者の経験では、業務管理者となる人材の約7~8割が公認 不動産コンサルティングマスターの資格を持っている。
公認 不動産コンサルティングマスターの登録要件の1つが「宅地建物取引士資格登録後、不動産に関する5年以上の実務経験を有し、登録申請時において、宅地建物取引士証の交付を受けていること」であるため、多くの公認 不動産コンサルティングマスターは宅地建物取引士の条件も満たしている。

公認 不動産コンサルティングマスターの資格を持つ読者には、不動産特定共同事業の業務管理者としてのキャリアアップの機会が存在することをご認識いただきたい。

個人投資家にインターネット等を通じて小口の不動産投資機会を提供する不動産特定共同事業は今後も拡大が見込まれる。

不動産特定共同事業の拡大に伴い、同事業の業務管理者として、公認 不動産コンサルティングマスターの活躍の場が更に広がることが期待される。


石井 くるみ 日本橋くるみ行政書士事務所代表

『月刊 不動産フォーラム21』2017年6月号より執筆中

不動産及び金融分野の法務を専門とし、一般社団法人不動産特定共同事業者協議会アドバイザーを務める。

主な著書に『民泊のすべて』(大成出版社、2017年度日本不動産学会・著作賞(実務部門)受賞)、共著に『行政書士の業務展開』(成文堂)など。

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