専門家とはどういう人か ~社会課題解決への意志~

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公的、民間を問わず不動産業界には様々な資格がある。それらの資格取得者は当然「専門家」であり、そうでなければ意味がない。では、専門家の専門性とは何をもって、そう呼ばれるのだろうか。答えを先に述べれば、それはその専門分野が存在することの社会的意義に通じ、かつその意義を専門外の人にも分かりやすく伝えることができる能力である。

例えば、近年改めて注目を集めている不動産特定共同事業法(不特法)がある。不動産証券化手法の一つだが、JリートやGK-TK方式のように有価証券として扱われるのではなく、現物不動産として扱われるところにその特色がある。1995年の施行後は2013年、2017年、2019年と3度の改正が行われた。2017年12月の改正では「小規模不動産特定共同事業」という概念が創設され、取り扱う不動産が一定規模以下であれば事業者要件が緩和され、中堅企業の参入が増え始めた。また、不特法における不動産投資型クラウドファンディングも可能となった。

この不特法という専門分野が存在する意義は不動産の現物性が残されていることで、不動産証券化手法の中で独自の位置を占めていることにとどまらない。中堅中小不動産会社にも門戸が開かれたこと、空き家・空き店舗などの活用を通して地域活性化にも貢献できるなど多岐に渡る。というよりも、その発展可能性は法改正を受けた今後の関係業界の努力次第と言ってもいいだろう。ただし、そのためにはクラウドファンディング型も含め不特法の魅力を専門外(一般の個人投資家など)の人たちにも分かりやすく伝えることができる専門家がいなければならない。

専門家とは法律の条文やガイドラインを丸暗記している人のことではなく、その法律を活用して一般国民のために社会をよくしていこうという意志を持っている人たちのことである。社会が高度化し専門分野が細分化していくことが避けられないとすれば、専門分野と一般社会とのパイプこそが重要な役割を果たす。専門家の中にそうした橋渡しができる者がいなければ社会は逆に退化し、崩壊の道さえも危ぶまれるのではないか。

中堅中小不動産会社にとって、参入の道が開かれた不特法の事業者になることは、人口減少で縮小が見込まれる実需マーケットの外側に新たな展望を持つことになる。その不特法事業者になるためには業務管理者の設置が不可欠で、その業務管理者とは宅地建物取引士であることを前提に、次のいずれかに該当する者を言う。

  1. 不動産特定共同事業の業務に関し3年以上の実務経験を有する者
  2. 公認 不動産コンサルティングマスター
  3. ビル経営管理士
  4. 不動産証券化協会認定マスター

この中で公認 不動産コンサルティングマスターは中小不動産業界にも数多く輩出されている専門家である。ということは一般国民との接点も多い。その意味でも不特法発展の鍵を握る専門家集団となっていくことを期待する。

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住宅評論家・住宅新報メディアグループ顧問 本多 信博 氏

本多 信博 住宅評論家・住宅新報顧問

1949年生まれ。長崎県平戸市出身。早稲田大学商学部卒業。住宅新報編集長、同編集主幹を経て2008年より論説主幹。 2014年より特別編集委員、2018年より顧問。
日本不動産ジャーナリスト会議会員
明海大学不動産学部非常勤講師
著書:『大変革・不動産業』(住宅新報社・共著)、『一途に生きる!』(住宅新報社)『住まい悠久』(プラチナ出版)など
論文: 週刊エコノミスト、業界団体季刊誌など多数
講演: 業界団体、NPO法人、JAなど 。

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