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建築散歩!No.21「日本工業俱楽部」~マスターと共に歩む、街歩きを兼ねた建築物の探訪~

建築散歩!No.21「日本工業俱楽部」

今回は第2世代の建築家といえる「横河民輔(よこがわたみすけ)」設計の建築を見ていきましょう。東京駅丸の内北口前にある「日本工業俱楽部会館旧館」です。

建物はセセッション様式とのことです。建物正面上部の男女の像は、男性がハンマーを、女性が糸巻きを手に持っており、戦前日本の主要産業である「石炭」と「紡績」を表現しているらしいです。

同会館は、国内のそうそうたる企業会員や個人会員による団体の会館であるため、内部は見学させてもらえませんでした。

30年位前にソニー勤務だった従兄が結婚式をここで挙げ、呼ばれて出席しており、一度中に入っているのですが、昔のことでもあり、当時まだあまり近代建築に意識が無かったため、残念ながら建物内部の記憶はなくコメントできません。

横河民輔」は、三井家と縁が深く、日本橋界隈での事務所ビルや現存する三越日本橋本店などを設計した建築家です。実業家・起業家としての才があったようで、横河工務所(建築設計事務所)以外に、横河電機株式会社や横河橋梁(現 株式会社横河ブリッジ)などを興しています。

 

建築散歩!No.21「日本工業俱楽部」
建築散歩!No.21「日本工業俱楽部」
建築散歩!No.21「日本工業俱楽部」
建築散歩!No.21「日本工業俱楽部」
建築散歩!No.21「日本工業俱楽部」
建築散歩!No.21「日本工業俱楽部」
建築散歩!No.21「日本工業俱楽部」
建築散歩!No.21「日本工業俱楽部」
建築散歩!No.21「日本工業俱楽部」
建築散歩!No.21「日本工業俱楽部」
建築散歩!No.21「日本工業俱楽部」

建築散歩!No.20「求道学舎」「鳳明館」~マスターと共に歩む、街歩きを兼ねた建築物の探訪~

建築散歩!No.20「求道学舎」

今回は第2世代の建築家といえる「武田五一(たけだごいち)」設計の建築を見ていきましょう。東京都文京区本郷の「求道学舎、求道会館」です。東大正門前から本郷通りを西に外れて少々入ったところにあります。

武田五一」は京都を中心に、前回の野口孫市と同様、主に関西で活躍した建築家です。英、独、仏への留学により、当時流行していたアール・ヌーボーや、セセッションを日本に伝えたといわれています。

「求道学舎」は、2008年、リノベーションにより日本建築学会賞に選ばれていますが、これを進めたのが、当センターにてエバリュエーション専門士の講師や専門教育の講師を担っていただいている㈱アークブレイン代表の「田村誠邦」先生です。

求道学舎は、コーポラティブ方式の区分所有集合住宅(敷地は定期借地権)であり私有地のため、立ち入りは出来ませんのでご注意下さい。詳細は、株式会社アークブレインのホームページをご参照下さい。

求道学舎リノベーション住宅 | 株式会社アークブレイン (abrain.co.jp)

「求道会館」については、写真の中に東京都の解説がありますので、ご参照ください。

同会館では、イベントや月に一度ほど公開日(原則、第4土曜日13:00~14:30)がありますので、内部をご覧になりたい方は事前に確認してください。

また、斜め前には木造建築の味わいのある旅館、鳳明館(森川別館)があります。本館、台町別館は、少し離れた菊坂下から少し上がったところにありますので、併せてご見学をどうぞ。

建築散歩!No.20「求道学舎」
建築散歩!No.20「求道学舎」
建築散歩!No.20「求道学舎」
建築散歩!No.20「求道学舎」
建築散歩!No.20「求道学舎」
建築散歩!No.20「求道学舎」
建築散歩!No.20「求道学舎」
建築散歩!No.20「求道学舎」
建築散歩!No.20「求道学舎」
建築散歩!No.20「求道学舎」
建築散歩!No.20「求道学舎」
建築散歩!No.20「求道学舎」
建築散歩!No.20「求道学舎」
建築散歩!No.20「求道学舎」
建築散歩!No.20「求道学舎」
建築散歩!No.20「求道学舎」
建築散歩!No.20「求道学舎」
建築散歩!No.20「求道学舎」
建築散歩!No.20「求道学舎」
建築散歩!No.20「求道学舎」
建築散歩!No.20「求道学舎」
建築散歩!No.20「求道学舎」
建築散歩!No.20「求道学舎」
建築散歩!No.20「求道学舎」

建築散歩!No.20「求道学舎」

建築散歩!No.20「求道学舎」
建築散歩!No.20「鳳明館」
建築散歩!No.20「鳳明館」
建築散歩!No.20「鳳明館」
建築散歩!No.20「鳳明館」
建築散歩!No.20「鳳明館」
建築散歩!No.20「鳳明館」
建築散歩!No.20「鳳明館」
建築散歩!No.20「鳳明館」
建築散歩!No.20「鳳明館」



建築散歩!No.19「大阪府立中之島図書館」~マスターと共に歩む、街歩きを兼ねた建築物の探訪~

建築散歩!No.19「大阪府立中之島図書館」

今回は、第2世代の建築家といえる「野口孫市(のぐちまごいち)」、「日高胖(ひだかゆたか)」設計の建築を見ていきましょう。大阪中之島の「大阪府中之島図書館」です。

野口孫市は住友家と縁が深く、住友関係の建物を多く設計しています。この図書館も元々は住友家の発注によって建築したものを寄付されたものらしいです。柱頭(キャピタル)はコリント式で、立派なペディメントの図柄は何でしょうか。中央ドーム下のホールと階段も、重厚感があって良い雰囲気です。

野口孫市は、アメリカに調査に出かけており、当時のアメリカの建築に強く影響を受けているそうです。

 

建築散歩!No.19「大阪府立中之島図書館」
建築散歩!No.19「大阪府立中之島図書館」
建築散歩!No.19「大阪府立中之島図書館」
建築散歩!No.19「大阪府立中之島図書館」
建築散歩!No.19「大阪府立中之島図書館」
建築散歩!No.19「大阪府立中之島図書館」
建築散歩!No.19「大阪府立中之島図書館」
建築散歩!No.19「大阪府立中之島図書館」

建築散歩!No.19「大阪府立中之島図書館」

建築散歩!No.19「大阪府中之島図書館」

 

建築散歩!No.18「横浜第2合同庁舎(旧生糸検査所)」「旧第一銀行横浜支店(横浜アイランドタワー)」「横浜市開港記念会館(旧開港記念横浜会館)」「KN日本大通ビル(旧三井物産横浜支店1号棟・2号棟)」~マスターと共に歩む、街歩きを兼ねた建築物の探訪~

建築散歩!No.18「横浜第2合同庁舎(旧生糸検査所)」

前回に続き、今回は「馬車道」駅と隣の「日本大通り」駅付近にある近代建築を見てみましょう。馬車道駅付近には、建築家の第2世代と呼ばれる「遠藤於菟(えんどうおと)」設計の「横浜第2合同庁舎(旧生糸検査所)」があります。建物の解説は写真の中にありますのでそちらを見てください。

通りを挟んですぐ前には「旧第一銀行横浜支店(横浜アイランドタワー)」の建物が保存・復元されています。「列柱」が印象的な建物です。

隣駅、日本大通りを出て県庁のはす向かいの「横浜市開港記念会館(旧開港記念横浜会館)」を見ようと思い、行ってみたら改修工事中でした。令和6年春からは、予約して入れるようになっています。建物は辰野式で「塔」が特徴的で、「大阪市中央公会堂」とともに大正時代の名公会堂として知られています。大阪同様デザイン設計をコンペ(一般公募)で設計しており、第一席を取った福田重義の原案を横浜の技師たちが磨き上げたそうです。

日本大通り駅から横浜公園に向かう通りに面して「遠藤於菟」設計の「KN日本大通ビル(旧三井物産横浜支店1号棟・2号棟)」があります。ともにRC造で、正面玄関に向かって左側が1号棟、右側が2号棟です。窓のデザインを少し変えています。1号棟は明治末期の建物ですのでRC造としては初期の建物だそうです。

建築散歩!No.18「横浜第2合同庁舎(旧生糸検査所)」
建築散歩!No.18「横浜第2合同庁舎(旧生糸検査所)」
建築散歩!No.18「横浜第2合同庁舎(旧生糸検査所)」
建築散歩!No.18「横浜第2合同庁舎(旧生糸検査所)」
建築散歩!No.18「横浜第2合同庁舎(旧生糸検査所)」
建築散歩!No.18「横浜第2合同庁舎(旧生糸検査所)」

建築散歩!No.18「横浜第2合同庁舎(旧生糸検査所)」

建築散歩!No.18「横浜第2合同庁舎(旧生糸検査所)」
建築散歩!No.18「旧第一銀行横浜支店(横浜アイランドタワー)」
建築散歩!No.18「旧第一銀行横浜支店(横浜アイランドタワー)」
建築散歩!No.18「旧第一銀行横浜支店(横浜アイランドタワー)」
建築散歩!No.18「旧第一銀行横浜支店(横浜アイランドタワー)」

建築散歩!No.18「旧第一銀行横浜支店(横浜アイランドタワー)」

建築散歩!No.18「旧第一銀行横浜支店(横浜アイランドタワー)」
建築散歩!No.18「横浜市開港記念会館(旧開港記念横浜会館)」
建築散歩!No.18「横浜市開港記念会館(旧開港記念横浜会館)」
建築散歩!No.18「横浜市開港記念会館(旧開港記念横浜会館)」
建築散歩!No.18「KN日本大通ビル(旧三井物産横浜支店1号棟・2号棟)」
建築散歩!No.18「KN日本大通ビル(旧三井物産横浜支店1号棟・2号棟)」
建築散歩!No.18「KN日本大通ビル(旧三井物産横浜支店1号棟・2号棟)」
建築散歩!No.18「KN日本大通ビル(旧三井物産横浜支店1号棟・2号棟)」
建築散歩!No.18「KN日本大通ビル(旧三井物産横浜支店1号棟・2号棟)」
建築散歩!No.18「KN日本大通ビル(旧三井物産横浜支店1号棟・2号棟)」

建築散歩!No.18「KN日本大通ビル(旧三井物産横浜支店1号棟・2号棟)」

建築散歩!No.18「KN日本大通ビル(旧三井物産横浜支店1号棟・2号棟)」

 

建築散歩!No.17「神奈川県立歴史博物館」「馬車道大津ビル」~マスターと共に歩む、街歩きを兼ねた建築物の探訪~

建築散歩!No.17「神奈川県立歴史博物館」「馬車道大津ビル」

今回も「妻木頼黄」設計の建築を見ていきましょう。神奈川県中区南仲通、みなとみらい線馬車道」駅が最寄りの「神奈川県立歴史博物館(旧神奈川正金銀行本店本館)」です。

みなとみらいにあるスコア協議会員の法人さんを訪問した際に寄り道をしてきました。

妻木頼黄の設計した建物の中で、現存するものとしては代表する作品ではないでしょうか。明治時代の建物で、関東大震災でドームなどが焼失しましたが、1964(昭和39)年に復原されたそうです。

見ての通り外装は装飾で彩られていますが、内装はシンプルで質実剛健といった作りです。

正面入り口のはす向かいには、「木下益治郎(きのしたますじろう)」設計の「馬車道大津ビル(旧東京海上火災保険株式会社横浜出張所)」があります。

木下益次郎は訪米調査でアール・デコ幾何学模様が特徴的)の影響を強く受けたようで、この建物はこれまで見てきた様式建築とは明らかに違います。

ともに写真の中に解説がありますのでご参照下さい。

馬車道駅から隣の日本大通り駅間には、多数近代建築が見られますので、次回引き続きご紹介いたします。

建築散歩!No.17「神奈川県立歴史博物館」
建築散歩!No.17「神奈川県立歴史博物館」
建築散歩!No.17「神奈川県立歴史博物館」
建築散歩!No.17「神奈川県立歴史博物館」
建築散歩!No.17「神奈川県立歴史博物館」
建築散歩!No.17「神奈川県立歴史博物館」
建築散歩!No.17「神奈川県立歴史博物館」
建築散歩!No.17「神奈川県立歴史博物館」
建築散歩!No.17「神奈川県立歴史博物館」
建築散歩!No.17「神奈川県立歴史博物館」
建築散歩!No.17「神奈川県立歴史博物館」
建築散歩!No.17「神奈川県立歴史博物館」
建築散歩!No.17「神奈川県立歴史博物館」
建築散歩!No.17「神奈川県立歴史博物館」
建築散歩!No.17「神奈川県立歴史博物館」
建築散歩!No.17「神奈川県立歴史博物館」
建築散歩!No.17「神奈川県立歴史博物館」
建築散歩!No.17「馬車道大津ビル」
建築散歩!No.17「馬車道大津ビル」
建築散歩!No.17「馬車道大津ビル」
建築散歩!No.17「馬車道大津ビル」
建築散歩!No.17「馬車道大津ビル」
建築散歩!No.17「馬車道大津ビル」
建築散歩!No.17「馬車道大津ビル」

 

建築散歩!No.16「旧醸造試験所第一工場」~マスターと共に歩む、街歩きを兼ねた建築物の探訪~

建築散歩!No.16「旧醸造試験所第一工場」~マスターと共に歩む、街歩きを兼ねた建築物の探訪~

 

今回は「妻木頼黄(つまきよりなか)」設計の建築を見ていきましょう。東京都北区、京浜東北線南北線「王子」駅が最寄りの「旧醸造試験所第一工場」です。

駅中央口を飛鳥山公園側に出て、都電の走る明治通りから石神井川右岸沿いの道を進み、左に折れて少々上ったところにあります。

飛鳥山公園は桜の名所ですが、ここの隣にも小さな公園があり、ちょうどお花見をしているご近所さんで溢れていました。私はお花見をせず、加盟している東京都北区シニアサッカーの試合に出場するため、赤羽のピッチに行く途中で寄り道です。

妻木頼黄は、ドイツやアメリカへの留学を経験しており、この工場はドイツのビール工場を参考にしているようです。東京の「日本橋」の装飾も担っています(橋梁自体の設計は別です)。また、通称「横浜赤レンガ倉庫」の設計でも知られています。

建築散歩!No.16「旧醸造試験所第一工場」
建築散歩!No.16「旧醸造試験所第一工場」
建築散歩!No.16「旧醸造試験所第一工場」
建築散歩!No.16「旧醸造試験所第一工場」
建築散歩!No.16「旧醸造試験所第一工場」
建築散歩!No.16「旧醸造試験所第一工場」
建築散歩!No.16「旧醸造試験所第一工場」
建築散歩!No.16「旧醸造試験所第一工場」
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建築散歩!No.16「旧醸造試験所第一工場」
建築散歩!No.16「旧醸造試験所第一工場」
建築散歩!No.16「日本橋橋上モニュメント」
建築散歩!No.16「日本橋橋上モニュメント」
建築散歩!No.16「日本橋橋上モニュメント」

時代を読む ― 媒介報酬の自由化に備えよ

時代を読む ― 媒介報酬の自由化に備えよ

媒介報酬の自由化はいずれやってくる。すでに東京では10億円以上もするような新築マンションが売れている。何億円で売ろうと規制はない。当然である。流通市場の仲介サービスも同じである。より高度なサービスを求める人たちに、これまでなかったような質の高いサービスで応えようとしても上限規定のために出来ない現状に、流通業界もいずれ矛盾を感じるようになるはずだ。

「高額物件なら仲介手数料も高額になるから十分なサービスができる」という反論も聞こえてきそうだが、本当にそうだろうか。仲介手数料の額に応じてコストを掛けサービスの質を上げる努力をしている会社が実際どれぐらいあるのか。サービスの質は一定でも高額物件ほど手数料が多くなるところに魅力を感じている会社のほうが多いのではないだろうか。

つまり、現状のように媒介報酬規程による決まった枠内で企業が競争している間は、流通市場に真の発展はないというのが筆者の見解である。そもそも、AIがビジネスの隅々(いや中枢)にまで入りこむようになった時代に、1970(昭和45)年に定められた規定が今でも使われていること自体、市場の発展とはそぐわない感じを抱かざるを得ない。

 

媒介報酬の自由化は意外な方向からやってくる可能性がある。それは賃貸住宅管理業法の施行(2021年6月)によって管理業務が注目されるようになったが、管理報酬にはもともと規制がないし、今後も自由市場の中で企業が互いに競争することで市場の発展が期待されているからだ。

また、今年半ばをめどに国土交通省が策定する「空き家管理業のガイドライン」でも、空き家管理業務に係る報酬などについての解釈の明確化とルールが提示されることになっている。これは規制ではなく、空き家管理といってもその内容は様々なので、「ここまですればこの程度の報酬をもらってもいいのではないか」という目安を示すことで不動産業者が空き家業務に参入しやすくするのが狙いである。

このように、これからは媒介とは別の業務が自由市場の中で広がっていき、発展していけば、規制の枠の中にある媒介市場の非近代性が浮かび上がってくるのは必定だろう。時代の先を読むべき立場にある宅建士は、「媒介報酬自由化後に求められる新しいサービスとは何か」についての賢察が必要だ。

4月の入社式における不動産会社の社長訓示に共通していたことは「新しい価値の創出」である。まさに、これまでになかったサービスで新しい価値を顧客に提供することである。その努力がなければ、少子化と人口減少で不動産市場は減退の一途をたどるしかない。新設住宅着工の減少が見えている中、期待がかかる流通市場だが、ストックは増えても「マイホームが一生に一度」の買い物にとどまっている限り減退は避けられない。

 

媒介サービスの質向上で一生に二度、三度の住み替え需要を発掘していくことこそ宅建士や公認 不動産コンサルティングマスターの使命となる。

 

執筆者

本多信博氏 住宅新報 顧問

1949年生まれ。長崎県平戸市出身。早稲田大学商学部卒業。住宅新報編集長、同編集主幹を経て2008年より論説主幹。 2014年より特別編集委員、2018年より顧問。
著書:『大変革・不動産業』(住宅新報社・共著)、『一途に生きる!』(住宅新報社)、『百歳住宅』(プラチナ出版)、『住まい悠久』(同)、『たかが住まい されど、住まい』(同)、『住文化創造』(同)など
現在、住宅新報に連載コラム「彼方の空」を執筆中。